四季を楽しむ茶道において、季節感を出しやすい茶道具の1つが薄茶用の抹茶を入れておく薄茶器です。
棗（なつめ）は薄茶器の中でも代表的な形とされていて、植物のナツメの実に形が似ていることからそう呼ばれるようになりました。
薄茶器の形には他にも雪吹や中次などがありますが、薄茶器全般を総称して棗と呼ぶこともあります。

棗は湿気に弱い素材で作られていることが多く、お手入れの際は水洗いは避け、柔らかい布や懐紙などで拭き上げるのが一般的です。
保管の際もカビが生えやすいので注意が必要です。もしも使う見通しのない棗があるようでしたら、思い切ってご整理されるのも選択肢の1つです。
棗は作家作品のほかに無銘の名品も多く、ご売却をご検討でしたら経験豊富な鑑定士がいる古美術はじめ堂へご相談ください。

棗は大きさで「大棗」「中棗」「小棗」にわけられます。その中でも平らな「平棗」、細長い「長棗」、球状の「丸棗」などがあります。
漆塗のものが一般的ですが、木地や竹、象牙、純金、純銀、稀に陶器やガラスの棗などもあります。
装飾技法は基本の「黒塗」「溜塗」、「一閑張」や「蒔絵」「沈金」のほか、「螺鈿」や「堆朱」などがあり、初期はシンプルな意匠が主流でしたが、徐々に凝った装飾の棗が作られるようになりました。
お茶会で鑑賞の対象となる棗は、季節を象徴する草花や虫や風景、絵巻物や縁起物、伝統的な文様など様々な技法を凝らした装飾が施されていることも多く、見る者の目を楽しませてくれます。