大樋長左衛門　
陶芸家

大樋長左衛門　略歴

石川県金沢市で江戸時代より続く大樋焼の窯元として代々襲名されてきた大樋長左衛門。
その始まりは、初代大樋長左衛門（土師長左衛門）が4代裏千家家元に同道して加賀藩に赴き、現在の金沢市大樋町に開窯したこととされています。
初代大樋長左衛門は、裏千家家元が帰京した後も金沢に残り御用窯を務めたため、加賀藩より地名に因んだ「大樋」姓を許可されました。
以後、代々素朴で穏やかな茶陶を制作してきましたが、明治期の動乱により、7代大樋長左衛門を最後に大樋長左衛門の名は大樋家の従兄弟にあたる奈良家が継承することになります。
8代大樋長左衛門以降は、茶道の再興もあり大樋焼は高い評価を取り戻し、当代である11代大樋長左衛門は国内外で多岐にわたる活躍をされています。

大樋長左衛門(大樋焼)の特徴

大樋長左衛門は樂家の唯一の脇窯として、轆轤を使わない手捏ねと箆削りによる素朴な茶陶を主に制作してきました。
大樋焼の代名詞とも言える独特のねっとりとした飴釉は、楽焼にはない大樋焼独自の温かみのある風合いを作り出し、まさに雪国に相応しい焼物と言えます。
保温性も高く、楽焼に比べると薄づくりなため軽くて柔らかな口当たりも魅力のひとつです。
また、大樋長左衛門は飴釉だけでなく、幕釉と呼ばれる黒釉でも高い評価を受け、茶陶として広く愛されています。

査定ポイントと買取相場

陶磁器作品は少しのヒビやカケでも査定額が大きく下がってしまいます。
大樋焼はその特性から疵ができやすく、箱からの出し入れや持ち運びの際には状態を悪化させないよう注意が必要です。
また、付属の木箱の割れや日焼け、シミも査定額に影響することがあります。

茶道具の査定では、共箱（作者本人の直筆サインや落款のある木箱）や識箱（作者に近しい者や茶道の宗匠などの箱書きがある木箱）の有無が非常に大切です。
稀に1つの箱に蓋が2つ3つ付属している作品もありますが、大切な付属品である場合がほとんどですので、全て一緒にお持ちください。
また、図録掲載作品などは掲載されている図録があると査定額アップに繋がることもがあります。

大樋長左衛門作品は、黒釉、次いで飴釉が人気ですが、書付の有無や何代目の作品かによっても相場は変わってまいります。
多くの場合、茶碗であれば共箱がある状態で数万～数十万円、その他の作品で数千円～数万円の買取価格をご提示させていただいています。

古美術はじめ堂では、大樋長左衛門作品の買取に力を入れております。
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