楽吉左衛門
陶芸家・茶碗師

楽吉左衛門　略歴

楽吉左衛門は千家十職の一つで、樂焼の茶碗を作る茶碗師として樂家が代々襲名している名前です。
初代の長次郎は樂家の代名詞である黒釉をかけた楽茶碗の制作において、高い技量を発揮したとされています。
長次郎の没後、豊臣秀吉から「聚楽第」の一字を取った「樂」の印を与えられたことで樂家が始まったとされ、2代常慶、3代道入、4代一入、5代宗入、6代左入、7代長入、8代得入、9代了入、10代旦入、11代慶入、12代弘入、13代惺入、14代覚入、15代直入、そして当代である16代楽吉左衛門へと、樂焼はおよそ450年前から一子相伝で代々受け継がれています。

楽吉左衛門の特徴

樂焼は轆轤を用いず、手とヘラのみを使う手捏ねで成形したものを、樂焼独自の焼成技法で焼き上げます。
黒楽は1000℃程度、赤楽は800℃程度で焼成されることが多く、より高温で焼成される一般的な施釉陶器に比べると強度は劣りますが、それもまた茶の湯の「一期一会」に通じるとされ、欠点とはされていません。
また、現在では樂焼は陶芸技法のひとつとして広く普及し、樂家以外の窯元でも多数の樂焼が作られていますが、樂焼が始まった当初は、樂焼は「樂家の焼物」という意味でした。
歴代の楽吉左衛門には黒楽・赤楽の中にあっても独特の作風がそれぞれにあり、作品の造形や黒釉の質感、赤釉の色味など、鑑賞のポイントは多岐にわたります。
特に千利休の理想とした茶碗を形にした初代長次郎や、樂家歴代随一の名工といわれる3代道入（別号のんこう）は別格とされ、15代直入の完成させた特殊な焼貫焼成による黒楽茶碗も大変人気があります。

査定ポイントと買取相場

陶磁器作品は少しのヒビやカケでも査定額が大きく下がってしまいます。
楽焼はその特性から疵ができやすく、箱からの出し入れや持ち運びの際には状態を悪化させないよう注意が必要です。
また、付属の木箱の割れや日焼け、シミも査定額に影響することがあります。

茶道具の査定では、共箱（作者本人の直筆サインや落款のある木箱）や識箱（作者に近しい者や茶道の宗匠などの箱書きがある木箱）の有無が非常に大切です。
稀に1つの箱に蓋が2つ3つ付属している作品もありますが、大切な付属品である場合がほとんどですので、全て一緒にお持ちください。
また、図録掲載作品などは掲載されている図録があると査定額アップに繋がることもがあります。

黒楽、次いで赤楽が人気ですが、450年もの歴史がありますので、何代目の作品かによっても相場は変わってまいります。
多くの場合、茶碗であれば共箱がある状態で十数万～数百万円、その他の作品は数万～数百万円の買取価格をご提示させていただいています。

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